フロントフォークのインナーチューブの再メッキ・再生とは?工程も解説
フロントフォークのオーバーホールで言われることもあるインナーチューブの再メッキって何か気になりませんか?
メッキって色々なパーツでよく見かけると思いますが、このインナーチューブの再メッキ自体はあまり馴染みがありませんよね。
「再メッキってどうい意味?」
「工程ってどんなの?」
「費用や納期ってどれくらいなんだろう?」
このような疑問がわいてくるかと思います。
この記事では、インナーチューブの再メッキの工程やえられる効費などの基礎知識、料金の目安などを詳しく解説していきます。
この記事を読んでもらえると再メッキに関する知識がつくので、安心して再メッキに出せるようになると思います。
是非最後までお読み下さい。
目次
1.インナーチューブの再メッキとは?
インナーチューブの再メッキは、フロントフォークからオイル漏れが発生して、オーバーホールが必要になった時に行うメンテナンスの一つです。
オイルシールやダストシールなど劣化や損傷が軽微であれば、オーバーホールはパーツの分解・洗浄、そしてオイルシールやダストシールなどの消耗品の交換で済みます。
しかし、インナーチューブに点サビがあったり、劣化が激しと、そのサビや傷でオイルシールやダストシールなど部品を傷めてしまいます。
そのため、純正品や社外品など新品に交換します。
そして新品のパーツがない場合に利用されるのが、この再メッキによる修理方法です。
(インナーチューブの再メッキが必要な場合は、こちら)
インナーチューブの再メッキは、主にふたつの工程からなっています。
- 研磨
- メッキ
研磨では、表面の磨き上げとサビ取りをおこないます。
その後のクロムメッキで、表面を保護します。
これにより、インナーチューブ由来のオイル漏れがなくなり、オイルシールへのダメージも防げます。
さらに、クロムメッキ本来の高い装飾性や防錆性などの機能も復元できるようになります。
→他のパーツの再メッキに関しては、「バイクパーツの再メッキとは?」の記事で解説しています。
インナーチューブ以外にも再メッキのメリットやデメリットなどをお知りになりたいようでしたら、是非読んでみて下さい。
2.インナーチューブの再メッキの工程
インナーチューブの再メッキ工程は、メッキ加工業者で行う工程で、研磨とメッキの二つの工程です。
この研磨とメッキ工程は、インナーチューブ単体に分解した後に行います。
ここでは、研磨とメッキの工程を詳しく解説していきます。
2-1.研磨工程
インナーチューブの再メッキでは、まずインナーチューブの研磨から行います。
研磨では、研磨剤などを使ってサビや劣化したメッキ皮膜を取り除きつつ、メッキした後にキレイで滑らかな表面になるように磨きをかけます。
通常行われる研磨は、バフ研磨と言われる研磨方法で、「バフ」と呼ばれる絹やフェルトでできた道具を回転させながら、表面を磨く方法です。
このバフ研磨は、工具さえあれば自分でもできる研磨です。
ただし、もし研磨が不十分でサビが残っていると、次のメッキの工程で金属膜が上手くメッキされない不具合が生じてきます。
また、インナーチューブはその外径が規格化されているので、削り過ぎたりするとフロントフォークにオイル漏れなどの不具合が生じる恐れがあります。
したがって、インナーチューブに関しては、研磨もプロにお任せしましょう。
→他のバイクパーツのメッキにおける研磨のやり方を「バイクパーツのメッキ加工における研磨を自分でやるには?方法やコツを解説」の記事で解説してみました。
もし、バイクパーツでメッキ加工をお考えでしたら、こちらの記事を参考にしてみて下さい。
2-2.メッキ工程
研磨でステンレスなどの下地表面を出した後は、メッキを行います。
メッキとは、表面処理の一つで、下地の表面に金属の薄い皮膜を形成する方法です。
皮膜する金属を選択することで、様々な機能を素材に付け加えることができます。
バイクパーツに多く用いられている主なメッキは、クロムメッキと呼ばれるメッキで、このメッキは装飾性、防錆性、および耐摩耗性に優れています。
そしてメッキ工程では、まず前処理と言われる、処理を施します。
この前処理は、汚れや防錆剤を取り除き、メッキする金属皮膜をつきやすくする処理です。
その後、電気分解の方法を用いて下地に電気メッキを行います。
最後に外観の確認やインナーチューブの外径を測る検査を行って作業が完了します。
もし、前処理が足りないと金属皮膜のツキが悪く、そこからサビが発生してしまいます。
また、メッキ膜厚が不十分だとこれも劣化のスピードを早めてしまいます。
このメッキの工程は、前処理の薬液から電気分解に必要な装置まで準備が大変なので、メッキ加工業者に依頼するのが一般的です。
3.インナーチューブの再メッキの料金や日数
インナーチューブの再メッキをする費用は、バイクショップに依頼すると1本あたり20,000円~が相場です。
この費用には、研磨やメッキの技術者の技術料や作業時間、そして個別製品の管理コストなども含まれています。
安心してバイクに乗り続けるためにも、インナーチューブの劣化が進んでいるときは、再メッキを考えてみて下さい。
→この再メッキ費用も少しでも抑えたいと思った方はいるかと思います。
「フロントフォークの再メッキ費用を抑える方法」についての記事を投稿していますので、もしご興味ありましたら、是非お読み下さい。
また、再メッキに必要な日数は、多くのメッキ加工業者では1ヶ月近くとなっています。
これは、研磨やメッキの作業時間がかかるだけでなく、量産品とのスケジュール調整が必要になるためです。
もし、インナーチューブの再メッキを依頼する場合は、冬などあまりバイクに乗らない時期を選ぶとスケジュールに余裕が出てくると思います。
4.インナーチューブの再メッキに関する基礎知識
4-1.フロントフォークのオーバーホールとは?
フロントフォークのオーバーホールは、フロントフォークを分解・洗浄して、消耗品を全て交換するバイクメンテナンスの一つです。
このオーバーホールは、フロントフォークからオイル漏れが発生した際や、一般的には4万キロに一度行うことが推奨されています。
もし、オイル漏れを放置しておくと、ディスクブレーキにオイルが付着して事故の原因にもなります。
→インナーチューブの再生費用を含めたオーバーホールの見積り額に納得していますか?
オイルシールの交換など通常のオーバーホールの費用は、工賃と消耗品を含めて2本で3.2万円~が相場です。
1本2万円~の再メッキ費用も含めると、合計で7.2万円~となります。
もし、これより大幅に上回るようでしたら、工賃や消耗品費を確認した方が良いかもしれません。
オーバーホールに関わる消耗品費などの詳細な費用については、「フロントフォークのオーバーホールにかかる金額とは?」の記事にしてみましたので、ご興味があればご一読ください。
→そしてフロントフォークのオーバーホール費用を抑えるポイントはご存知ですか?
少しでもオーバーホールの費用を抑えたいと思ってる方には、「フロントフォークのオーバーホール費用を抑えるポイント」の記事で詳しく解説してみたので、是非読んでみてください。
4-2.インナーチューブの再メッキが必要な時
インナーチューブの再メッキが必要ない場合はどのような時なのでしょうか。
インナーチューブの点サビが摺動面(しゅうどうぶ)にない時
まず、インナーチューブに点サビや傷があってもインナーチューブが沈みこむ摺動面にない場合は、再メッキの必要はありません。
この時は、ダストシールやオイルシールなどのパーツを傷つける可能性も低いので、再メッキは不要です。
ただ、既に点サビが発生しているので、日々のメンテナンスや保管方法を見直して、これ以上点サビを増やさないような工夫が必要です。
純正品や社外品など新品への交換できる時
そして、純正品や社外品などの新品に交換できる時も不要です。
再メッキは、研磨とメッキをしてインナーチューブを復元します。
既に劣化しているパーツの復元になるので、耐久性の面などの機能面では新品に劣る部分があります。
もし新品が再メッキするよりも大幅に高価であるなど、交換が難しい場合に限ってのみ、再メッキを行うのが良いでしょう。
社外品は高品質で安価な製品もあるので、探してみると良い製品に巡り合えることもあります。
4-3.インナーチューブのサビの原因とサビから守る方法
比較的耐性の高いクロムメッキですが、サビが発生してしまいます。
このサビの原因は、主に雨や湿気などの水分や汚れです。また、海からの塩害も影響を及ぼします。
そのため、日々のメンテナンスや保管方法を工夫することでサビの防ぐことに繋がります。
例えば、雨で濡れたバイクをそのまま保管せずに、水分を拭き取ってから保管すると、サビの発生を抑制できます。
また、通気性の良いバイクカバーを被せて雨や湿気を防いで保管することも、サビ防止に効果が期待ができます。
もし、インナーチューブが錆びてしまっても、サビを落とせば、ある程度の延命ができます。
「フロントフォークの錆落とし方法」の記事で、サビの状態や落とし方を解説しました。
インナーチューブだけでなく、アウターチューブのサビが気になる人は、ぜひ参考にしてください。
4-4.インナーチューブの再生に塗装が適用できない理由
多くのバイクパーツのように、
「塗装による再生がなぜできないのか」
「なぜ探しても見当たらないのか」
と疑問に思った方もいるかもしれません。
これはインナーチューブの再生には、塗装が向いていないからです。
インナーチューブは、アウターチューブ内部のフォークオイルと接していて、走行時はアウターチューブ内を上下運動して衝撃を吸収しています。
一方で、塗装に使われる塗料は油に溶け出す成分を含んでいます。
そのため、インナーチューブを塗装すると、油に溶け出す成分がフォークオイルに溶け出し、フォークオイルを汚したり、塗装が剥がれたりします。
したがって、塗装はインナーチューブの再生に向いていません。
→ただし、ゴールドや黒などカラーリングされたインナーチューブがあるので、これに疑問を持つ方もいるかも知れません。
ゴールドや黒などのインナーチューブは、メタルコーティングという方法でカラーリングされています。
この方法はメッキと同じような耐性を持っています。
このメタルコーティングの特徴やアウターチューブのカラーリング方法についても「フロントフォークのカラーリング方法」の記事にまとめてみました。
再メッキと一緒にカラーリングも考えたい人は、是非読んでみてください。
4-5.インナーチューブの再メッキの依頼先
インナーチューブの再メッキの依頼先は、主にバイクショップあるいはメッキ加工業者です。
メッキ加工は、専用の設備や薬液などを必要とするため、メッキ加工業者で行います。
多くのバイクショップは、メッキ加工業者の窓口として対応してくれます。
メッキ加工業者に依頼するとバイクショップよりも安価で提示してくれるケースがほとんどですが、探すのが大変です。
なぜならば、「クロムメッキを行っている業者が限られている」点と、「個人からの依頼を受け付けている業者も限定される」からです。
その中で、当社HIMAARE BIKEも、インナーチューブの再生メッキを承っています。
もし、インナーチューブの再メッキなどで、メッキ加工業者をお探しの方は、下のお問い合わせボタンより、お気軽にご相談ください
まとめ
フロントフォークのインナーチューブの再メッキとは、研磨でサビを取り除いて、再度クロムメッキを施す加工のことになります。
この再メッキの工程は、まずバフ研磨で表面のサビを取り除き、メッキ後の仕上がりが鏡面になるように磨き上げます。
その後に装飾性や防錆性などに優れたクロムメッキを電気メッキで施します。
これにより、綺麗な鏡面のような表面や防錆性が復元できるようになります。
通常、バイクショップが窓口になって受け付けていますが、メッキ加工業者に直接依頼することもできます。
もし、メッキ加工業者をお探しの方は、当社までお気軽にお声がけください。
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