フロントフォークからのオイル漏れは危険?影響と修理方法を解説
フロントフォークからオイル漏れを発見したあなたは、こんな疑問が出てきませんか?
「フロントフォークからのオイル漏れは、放置しておいても大丈夫なの?」
「オイル漏れが及ぼす影響って、どんなのがあるの?」
「オイル漏れの修理方法や、それにかかる費用を知りたい」
この記事では、フロントフォークのオイル漏れが及ぼす影響や、オイル漏れの原因、そして修理方法や費用まで、詳しく解説していきます。
もし、フロントフォークからオイル漏れを見つけたら、こちらの記事を参考に、対策を取ってみてください。
目次
1.フロントフォークのオイル漏れとは
フロントフォークのオイル漏れは、フロントフォーク内部にあるフォークオイルが、漏れ出すことをいいます。
フォークオイルは、減衰力やエア反力など、サスペンションの機能に関わってくる、フロントフォークの重要な構成パーツです。
→もし、【フォークオイルがもたらすサスペンションへの効果】について知りたい人は、「フロントフォークのサスペンション調整方法」の記事を参考にしてください。
正立タイプのフロントフォークでは、ストロークしたインナーチューブについたオイルの滲みや、アウターチューブの底からの漏れなどで、オイル漏れが見られます。
一方、倒立タイプでは、「インナーチューブとダストシールの隙間からの漏れ出し」などで、見ることができます。
実は、このフロントフォークのオイル漏れは、走行に影響を与えるので、危険な現象でもあります。
つづきで、フロントフォークのオイル漏れが与える影響について、説明していきます。
2.フロントフォークのオイル漏れが及ぼす影響
もし、フォークオイルが漏れ出したら、どんな影響があるのでしょうか。
下にあげる影響が知られています。
オイル漏れが及ぼす影響
- ディスクブレーキへのオイル付着
- フォークオイルの減少がもたらす、サスペンション性能への影響
2-1.ディスクブレーキへのオイル付着
フロントフォークからオイル漏れが起こると、ディスクブレーキに付着する可能性があります。
もし、ディスクブレーキにオイルが付着すると、ブレーキの効きが悪くなる恐れがあるので、とても危険です。
そもそも多くのバイクに採用されているディスクブレーキのシステムは、ブレーキパッドやキャリパーピストン、マスターシリンダー、ディスクローターなどから構成されています。
手元のブレーキをかけると、ブレーキパッドまで力が伝わり、ブレーキパッドがディスクローターを挟み込むことで、タイヤが止まります。
もし、フォークからのオイル漏れで、ディスクローターやブレーキパッドに油が伝わると、摩擦が弱まり、ブレーキの効きが悪くなると言われています。
ブレーキの効きが悪くなると、停止までの距離が伸びたりするので、非常に危険ですよね。
2-2.フォークオイル減少がもたらすサスペンション性能への影響
フロントフォークからオイルが漏れ出すと、内部のオイルが減少するため、エア反発力に影響があります。
フロントフォークは、バネだけでなく、内部にある空気(エアバネ)からも反発力を受けて、サスペンションとして機能しています。
もし、オイルが減って空気量が多くなると、このエアバネの反力が弱まってきます。
反力が弱まるとフォークが、柔らかくなったり、必要とするストローク量が増したり、底つきの可能性が広がってきます。
また、オイルが漏れるのは、左右どちらかに偏る可能性が高く、左右のバランスが崩れることもあります。
したがって、フォークオイルの漏れは、サスペンション性能にも影響を与えます。
(エアバネだけでなく、金属バネが与えるサスペンションへの影響は、「フロントフォークのサスペンションの調整方法」の記事で解説しました。
詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。)
このようにブレーキやサスペンションなど、走行に影響が出てくるので、オイル漏れを発見したら、すぐに修理することを、おすすめします。
3.フロントフォークのオイル漏れの原因
では、なぜフロントフォークからオイルが、漏れ出してくるのでしょうか。
フロントフォークからのオイル漏れの原因は、以下のような要因が知られています。
フロントフォークのオイル漏れの原因
- オイルシールの損傷
- インナーチューブの損傷・サビ
- アウターチューブの亀裂・損傷
- ダンパーロッドボルトの緩み
- オイル量過多
- ダンパロッドボルトや銅ワッシャーの損傷 など
オイルシールの損傷
例えば、オイルシールの損傷が原因で、フロントフォークからオイルが漏れ出すことがあります。
オイルシールは、フォークオイルをアウターチューブ内部に、「とどめておく」役割をしています。
そのため、このオイルシールが劣化したり、キズが入ると、オイルが漏れてきます。
インナーチューブの損傷やサビ
そして、インナーチューブの損傷やサビも、オイル漏れの原因です。
インナーチューブは、走行中はアウターチューブの中を、上下にストロークしています。
これは、フロントフォークがサスペンションとして、地面からの衝撃を吸収しているためです。
もし、インナーチューブが損傷してキズがあったり、サビがあったりすると、オイルシールと擦れて、「痛めてしまうこと」があります。
そのため、インナーチューブのキズやサビも、オイル漏れの原因として知られています。
その他の原因
また、ダンバーロッドボルトに緩みがある時も、オイルが漏れだしてしまいます。
このようにオイル漏れを引き起こす原因は、複数あります。
4.フロントフォークのオイル漏れに対する修理→オーバーホール
ここでは、フロントフォークからオイルが漏れ出したら、どのような修理が必要なのかを、解説していきたいと思います。
上にあげるように要因は複数ありますが、いずれの要因でも「フロントフォークのオーバーホール」と呼ばれる修理をします。
この修理では、部品を全て分解・洗浄して、消耗品であるオイルシールやダストシール、そしてフォークオイルなどを交換します。
特にインナーチューブの劣化が激しく、これが原因でオイルシールを痛める可能性があれば、交換やインナーチューブの再生(再メッキ)が行われます。
(インナーチューブの再生・再メッキに関しては、「こちら」の記事を参考にしてください。)
フロントフォークを構成する部品は、点数が多く、専用の工具なども必要なので、少なくとも数時間はかかる修理です。
この修理は、多くのバイクショップで受け付けていますし、DIY・自分でする人も中にはいます。
もし、自分でする場合は、あらかじめサービスマニュアルと言われる整備本を、用意すると良いでしょう。
5.フロントフォークのオイル漏れの修理費用(オーバーホールの費用)
修理方法がわかってくると気になるのが、修理にかかる費用ではないでしょうか。
もし、正立タイプのフロントフォークをバイクショップでオーバーホールした場合の費用は、下のようになっています。
フロントフォークのオーバーホール費用の目安
通常のオーバーホール(2本)
費用:3.2万円~(消耗品費|約1.2万円+工賃|2万円~)
インナーチューブの交換込み(2本)
費用:6.4万円~(通常費用+新品のインナーチューブ代|3.2万円~)
インナーチューブの再生込み(2本)
費用:7.2万円~(通常費用+インナーチューブの再生|4万円~)
オイルシールの交換など、簡易的なオーバーホールでとどまれば、費用の目安は、3.2万円~(2本)になります。
ただ、バイクの排気量や正立・倒立での違いなどにより、費用は変わってきますので、注意が必要です。
もし、インナーチューブの交換あるいは再生が必要になると、それぞれに費用が加わってきます。
具体的な消耗品費の内訳やDIYとの比較などは、「フロントフォークのオーバーホールにかかる費用とは?業者とDIYで比較 」に記事にしています。
もしご興味あれば、ぜひ読んでください。
6.オイル漏れを防ぐメンテナンス方法
フロントフォークのオイル漏れの原因や修理方法がわかってくると、オイル漏れを起こさないための対策が気になりませんか?
オイル漏れを防ぐ主なメンテナンス方法としては、下の3つがあげられます。
オイル漏れを防ぐ主なメンテナンス方法
- 定期的なフォークオイルの交換
- 洗浄や保管方法の改善
- 定期的なフロントフォークのオーバーホール
定期的なフロントフォークのオイル交換
まずは、定期的にフォークオイルの交換をすることで、フロントフォークからのオイル漏れの予防に、なります。
フォークオイルの交換も、フロントフォークのメンテナンスの一つです。
フロントフォークのオイル交換では、劣化したオイルを入れ替えるだけでなく、混入した異物も取り出します。
オイルに混入した異物が原因で、オイルシールやインナーチューブが、キズつくこともあります。
このフォークオイルの交換は、5,000~10,000キロに一度か、1年に一度が推奨されています。
推奨の交換時期で、交換しましょう。
→フォークオイルの交換に関する記事は、「フォークオイルの交換費用は?」で解説しています。
よければ、参考にしてください。
洗浄や保管方法の改善
また、洗車や保管方法を工夫することで、オイル漏れを未然に防ぐ効果があります。
ダストシールに使われているゴムは紫外線に弱く、日が当たると、劣化が進んでしまいます。
そのため、バイクカバーやガレージなどで日光を避けて保管すると、劣化の進行を遅くできる効果が、期待できます。
また、高額になりがちなインナーチューブの交換や再生ですが、これはサビによる影響が大きくあります。
サビは、水と空気があると、進行してしまいます。
そのため、雨に濡れたら、メッキ部分を拭き取ったり、湿度が高まらないように、ガレージに保管したり、風通しの良いバイクカバーを被せておくと、良いでしょう。
もし、フロントフォークがサビてきてしまったら、「サビ取り」を考えてみてはいかがでしょうか。
フロントフォークのサビ取り方法を「こちら」の記事で、紹介しましたので、サビが気になる人は、ぜひ読んでみてください。
まとめ
フロントフォークからオイル漏れが発生すると、ブレーキの効きが悪くなる可能性や、サスペンション性能への影響があり、危険です。
もし、フロントフォークからのオイル漏れを見つけたら、馴染みのバイクショップに持ち込んで、「フロントフォークのオーバーホール」の修理について、相談すると良いでしょう。
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