フロントフォークのオーバーホールにかかる費用とは?業者とDIYで比較
フロントフォークからオイルが漏れ出してきたのでオーバーホールを考えていると、気になるのが料金や費用ではないでしょうか。
「いくらくらいが相場なんだろう?」
「馴染みのバイクショップから届いた見積りは、適正なのだろうか?」
「オーバーホールの費用が高いので、少しでも安くできないかな?」
こういったギモンが、わいてきませんか?
適切な相場を知っておくことで、安心してオーバーホールをお願いできたり、少しでも費用を抑えることができれば、欲しいガジェットや旅行などに回せるので、嬉しいですよね。
本記事では、フロントフォークのオーバーホールにかかる費用を、「バイクショップ」と「DIY」で比較しています。
それぞれの金額は、具体的な消耗品や工具の金額まで、落とし込みました。
そこから、少しでも費用をやすく抑える方法も、紹介していきます。
ぜひ最後まで読んで、フロントフォークのオーバーホールを実施するときの、参考にください。
目次
1.フロントフォークのオーバーホールにかかる金額の比較
ここではまずフロントフォークのオーバーホールにかかる金額を、下の表のようにバイクショップとDIYで比較してみました。
バイクショップ | DIY | |
---|---|---|
消耗品代(含オイル代) | 約12,000円 | |
インナーチューブ交換費用 | 約32,000円 | |
工賃(正立) | 20,000円~ | - |
サービスマニュアル代 | - | 約8,000円 |
汎用工具 | - | 19,000円~ |
専用工具 | - | 約17,000円 |
合計(消耗品交換のみ) | 32,000円~ | 56,000円~ |
モデル車種:SR400, 2010年モデル
バイクショップにお願いする場合
フロントフォークのオーバーホールをバイクショップに頼む場合、その金額は「工賃」と「消耗品代」で提示されることが一般的です。
「工賃」は2本で2万円~となっていて、通常の劣化での消耗品代はオイル代合わせて2本で約1.2万円で、合計で3.2万円~となります。
⚠︎バイクショップに依頼する時の注意点
- バイクの排気量や車種、フロントフォークのタイプで変わってくる場合がある
- 劣化が激しい場合は、インナーチューブの交換費用が発生し、高額になる
DIYでのオーバーホール
他方、工賃が抑えられるDIYの場合、オーバーホールにかかる金額はどのようになるのでしょうか。
こちらは工賃が抑えられるものの、サービスマニュアルの手配から汎用工具や専用工具の準備で最低でも5.6万円〜はかかってきます。
意外にも工賃以上に出費が嵩んでしまいますね。
ただ、サービスマニュアルや汎用工具はオーバーホールだけでなく、フォークオイルの交換や他のメンテナンスにも使いまわせます。
したがって、他のメンテナンスなどもDIYで行う場合は、DIYの方がお得になってきますね。
2.バイクショップに依頼する場合の内訳
つづいて、バイクショップにたのむ時の内訳を、詳しく説明していきたいと思います。
ここで参照する車種は、2010年式のSR400です。
2-1.消耗品交換のみの金額
ダストシールやオイルシールなどの損傷が軽度で、インナーチューブに著しい劣化がなければ、消耗品の交換のみのオーバーホールで済みます。
オーバーホールだけでなく、フロントフォークを丸ごと分解・組み立てする際に必要な交換部品は、サービスマニュアルに記載されています。
下の表は、SR400のサービスマニュアルを参考に、交換が必要な消耗品の一覧です。
部品名 | 価格(税込) | 個数 | 金額 |
---|---|---|---|
ガスケット | 253円 | 2 | 506円 |
Oリング | 440円 | 2 | 440円 |
ダストシール | 1,777円 | 2 | 3,554円 |
オイルシール | 1,045円 | 2 | 2,090円 |
スライドメタル | 891円 | 2 | 1,782円 |
ピストンメタル | 1,045円 | 2 | 2,090円 |
サスペンションオイル | 1,870円 | 1 | 1,870円 |
合計 | 11,572円 |
この表のようにダストシールから始まりオイルシール、スライドメタルなどの部品を新品に交換することが、推奨されています。
そして、一般的な消耗品の合計金額は、オイル代も含めて2本で約1.2万円となります。
2-2.激しい損傷・インナーチューブ交換や再生を含めた金額
インナーチューブは、交換が必要なパーツの中で、最も高価なパーツの一つです。
もし、インナーチューブにひどいサビや著しく損傷がある場合は、別途インナーチューブの交換や再メッキ(再生)の費用が発生してしまいます。
インナーチューブにできるサビの状態や、サビの落とし方については、「フロントフォークの錆取り方法」の記事で、詳しく解説しています。
もし、インナーチューブにサビが見られるようでしたら、ぜひ参考にしてください。
2-2-1.インナーチューブの交換料金
下の表は、インナーチューブを交換した場合の費用になります。
部品名 | 価格(税込) | 個数 | 金額 |
---|---|---|---|
ガスケット | 253円 | 2 | 506円 |
インナーチューブコンプリート | 20,570円 | 2 | 41,140円 |
サスペンションオイル | 1,870円 | 1 | 1,870円 |
合計 | 43,516円 |
インナーチューブが交換になる場合にかか金額で、約4.4万円です。
通常の消耗品の交換費用が約1.2万円だったので、インナーチューブまで交換すると、2本で更に約3.2万円が上乗せされます。
※SR400(3HTR)のインナーチューブ単体での販売はなく、インナーチューブコンプリート品から含まれている消耗品を引いた金額で計算しています。
ただし、インナーチューブの交換費用は、車種によって変わってきます。
詳しくは、オーバーホールをお願いするバイクショップに聞いてみましょう。
2-2-2.インナーチューブの再生・再メッキの費用
インナーチューブの交換が必要でも、古い車種などでは代替のインナーチューブの在庫がない場合もあります。
この場合は、インナーチューブを再生する方法があります。
再生の費用は、1本あたり2万円〜とインナーチューブ単体で考えると割高です。
ただ、インナーチューブ自体の強度が増したり、元のインナーチューブを利用するので、組み立てや動作で不具合が生じないなどのメリットがあります。
→インナーチューブの再メッキ工程や費用ついては、「フロントフォークのインナーチューブの再メッキ・再生とは?工程も解説」の記事で解説してます。
興味がありましたら、ぜひ読んで下さい。
2-3.正立・倒立フォーク別の金額
フロントフォークには、正立タイプと倒立タイプの2種類があり、タイプが変わると、料金も変わらないか心配になりますよね。
正立と倒立ともにオーバーホールの金額に含まれる工賃を同じ価格を設定している業者もいますが、倒立の工賃を高くしている業者も中にはいます。
倒立タイプを高く設定している業者では、1本あたり2千円程度の価格差を設けているようなので、2本あたり2.4万円~を目安にすると良いでしょう。
2-3-1.正立式と倒立式とは
正立タイプは、アウターチューブが下(車輪)側で、インナーチューブが上側にあるタイプのフロントフォークです。
逆に、倒立タイプは、アウターチューブが上側でインナーチューブが下(車輪)側にあるタイプのフロントフォークになります。
倒立タイプの方が、太いアウターチューブをステムに装着できる分、高い剛性が期待できることから、運動性に優れたスポーツタイプに多く取り入れられています。
2-4.バイクショップに依頼するのに向いている人
2本で3.2万~と高額な費用がかかるオーバーホールですが、どのような人が業者に依頼するのに適しているのでしょうか。
下のような人がDIYではなく、業者に依頼した方が良い人かと思います。
バイクショップに依頼するのに、適している人
- 仕事などで、いそがしい人
- 作業スペースがない人
- 数年でのりかえる人
- DIYに自信がない人
- お金に余裕がある人
仕事などでいそがしく、メンテナンスに時間がかけられない人は、バイクショップにお願いすることを、おすすめします。
フロントフォークのオーバーホールには、分解や組み立てもあり、素早く行えたとしても、数時間はかかるからです。
バイクを持ち込みさえすれば、プロが修理・メンテナンスを行ってくれますので、時間の節約にもなりますね。
バイク初心者であったり、自分自身でのメンテナンスに不安を覚える人も、業者に依頼するのが良いでしょう。
プロにお任せすれば、間違いなく綺麗な状態で戻ってきますので、安心ですね。
もしこれらに当てはまる人は、早速バイクショップに見積りの依頼をしてみましょう。
3.DIY・自作での内訳
工賃分を浮かせるために、自分でオーバーホールをするのも選択肢の一つです。
でも、自分でオーバーホールした場合の意外な盲点は、「工具」や「マニュアル本」が必要になることです。
その購入費用は、考えておきましょう。
DIY | |
---|---|
消耗品代(含オイル代) | 約12,000円 |
サービスマニュアル代 | 約8,000円 |
汎用工具 | 19,000円~ |
専用工具 | 約17,000円 |
合計(消耗品交換のみ) | 56,000円~ |
上の表は、DIYでのオーバーホールで最低限必要となるサービスマニュアル、汎用工具、そして専用工具の費用です。
この表を見ると、マニュアルの本や最低限の工具を用意するだけでも合計で4.4万円~掛かってくることが分かります。
意外に高額ですね。
つづいて、汎用工具や専用工具の費用の詳細を説明していきます。
3-1.サービスマニュアル代
始めにサービスマニュアルを手元に準備しましょう。
サービスマニュアルは、車種毎に用意されている冊子で、パーツ毎のメンテナンスやスペックなどがまとめられている整備士には必須の本です。
ユーザーでも入手することができ、ECサイトや販売店などで購入することが可能です。SR400(3HTR)は、大手ショッピンモールにて、7,700円(税込)で販売されています。
分解が必要になるオーバーホールを行う際は、是非手元においておきたいですね。
3-2.汎用工具の購入費用
SR400(3HTR)を例に、サービスマニュアルで推奨されている汎用工具の費用は、最低でも合計で1.9万~となります。
工具名 | 価格(税込) |
---|---|
メンテナンススタンド | 6,000円~ |
六角レンチ | 1,000円~ |
万力 | 6,000円~ |
トルクレンチ | 5,000円~ |
合計 | 18,000円~ |
上の表のように汎用工具には少なくとも、メンテナンススタンド、六角レンチ、万力、トルクレンチが必要になってきます。
そして、メンテナンススタンドは5,000円~、六角レンチは1,000円~、で、万力は6,000円~購入でき、トルクレンチに関しては7,000円~販売されています。
もし、これらの汎用工具が手元にあるようでしたら、この購入費用は浮かせられますね。
3-3.専用工具の購入費用
続いて、下の表のように専用工具を用意するのにかかる費用は合計で約1.7万円となります。
工具名 | 価格(税込) |
---|---|
T-ハンドル | 3,575円 |
フォークシールドライバーアタッチメント | 4,730円 |
フォークシールドラバーウェイト | 6,290円 |
フォークオイル調整ツール | 1,800円 |
合計 | 16,395円 |
専用工具としては、インナーチューブを固定するためのTハンドルやオイルシールプッシャー(ドライバーアタッチメントとドライバーウェイト)が必要となります。
また、フォークオイル調整ツールがあるとオイル面の高さを調整するのに便利なので、こちらも含めておきました。
もしSR400の純正品を準備するとTハンドルで約3,500円、オイルシールプッシャー一式で約11,000円となっています。
3-4.DIYに向いている人
オーバーホールを1回だけしか行う場合であれば、DIYのコストがより高いので、業者にお任せした方が良いように思えます。
ただ一方で、オーバーホールをバイクショップではなく、DIYで行うことに向いている人もいます。
DIYに向いている人は、どのような人かリスト化してみました。
DIYでのフロントフォークのオーバーホールに向いている人
- バイクいじりが好きな人
- 自分でメンテナンスができる人
- メンテナンスに費用をかけたくない人
- フロントフォークのカスタムを行う人
金額面だけでなく、「バイクいじりが好きな人」は、DIYが向いていますね。
なぜならば、故障やメンテナンスが必要な時に、パーツの分解や組み立て自体を楽しめるためです。
つづいて、メンテナンスに費用をかけたくない人も、DIYに向いていると思います。
DIYで必要となってくる工具は高額ですが、サービスマニュアルや汎用工具は、他のメンテナンスでも利用できます。
トータルの費用を考えるとDIYが安くなってきます。
上記のような方々にDIYが向いていますが、初心者はサービスマニュアルを入手して簡単たパーツの分解から始めるのも良いでしょう。
4.フロントフォークのオーバーホール費用を抑えるには?
高額になりがちなオーバーホールですが、工夫をすることで費用を抑えることができます。
費用を抑えるための主なポイントは、下のような4点です。
フロントフォークのオーバーホール費用を節約する4つのポイント
- 複数のバイクショップに、相見積もりをとる
- できる限りDIYをして、工賃を抑える
- 消耗品代を安く抑える
- オーバーホールの頻度を減らす
例えば、バイクショップ毎に工賃が変わってくるので、他のバイクショップへ相見積もりを取るだけで費用を抑えることができます。
また、バイクを持ち込んで、フロントフォークの取り外しから全てバイクショップにお願いすると、取り外しの工賃分もかかってきます。
フロントフォークの取り外しは、それほど難易度が高くないので、自分で取り外すと費用の節約になります。
→フロントフォークのオーバーホール費用を節約するポイントは、「バイク|フロントフォークのオーバーホール費用を抑えるポイント4選」の記事で詳しく解説しています。
ぜひ読んで、参考にしてください。
5.フロントフォークのオーバーホールとは
フロントフォークのオーバーホールでは何をするのでしょうか。
通常オーバーホールでは、フロントフォークを各パーツに分解して、パーツや内部を洗浄し、消耗品やオイルの交換、さらには組み立てまでを行います。
オーバーホールをすることで、新品同様に内部が綺麗になるとともに、フロントフォークに硬さが戻り、衝撃吸収性能も蘇ります。
そして、オーバーホールとは別にフロントフォークのメンテナンスには、オイル交換があります。
フロントフォークのオイル交換は、全てのパーツの分解までは行わず、「既存のオイルの吐き出し」と「新しいオイルの注入」で終わります。
この目的は、劣化したオイルを新品のオイルに変えることで、フロントフォークの機能を取り戻すためと、オイルに含まれる不純物の廃棄になります。
5-1.オーバーホールが必要な時|フロントフォークからのオイル漏れ
ではどんな時にオーバーホールが必要なのでしょうか。
オーバーホールはフロントフォークから油漏れしたら即時にした方が良く、定期的に行うならば4万キロを目安に行うことが一般的です。
理由として、フロントフォークにオイル漏れが生じると、ブレーキディスクまでいたり、事故を引き起こす恐れがあるからです。
また、フロントサスペンションの性能にも、影響が考えられます。
(→フロントフォークのオイル漏れによる影響については、「フロントフォークのオイル漏れは危険?影響と修理方法」にて解説しています。
もし、影響について詳しく知りたい方は、参考にしてください。)
安全にバイクを乗るためにも、オイル漏れに気づいたら、すぐにオーバーホールを行い、フロントフォークのオイル漏れを解消しましょう。
また、定期的にオーバーホールを行うことで、消耗品を新品に交換できるので、突然のオイル漏れを防止することに、つながります。
6.オーバーホールと一緒にしたいこと
フロントフォークのオイル漏れでオーバーホールが必要になった時に一緒に考えたいのが、フロントフォークのカラーカスタムとサスペンション調整です。
なぜならば、このカラーカスタムとサスペンション調整は、それぞれフロントフォークの分解が必要な場合があるので、一緒に行うと別々で行うよりも費用を抑えられるからです。
6-1.カラーカスタム
フロントフォークのカラーカスタムには、他のパーツにはない注意点であったり、塗装以外のカラーリング方法があります。
このカラーカスタムを知っておくと、自分にあった塗装方法が見つかると思います。
→オーバーホールの機会に外観も新たらしくしたい方は、「塗装はNG?フロントフォークのカラーリング方法を解説|ゴールド・黒」の記事を読んでもらえると、塗装以外の方法が選択肢として広がってきます。
6-2.サスペンション調整
フロントフォークはサスペンションとしての機能を持っていますが、その機能は標準的な体型や乗り方などに合うように調整されています。
体型や乗り方は人それぞれ違うので、もしこのフロント側のサスペンションを自分に合うように調整するとより、乗り心地が改善されるかもしれません。
フロントフォークのサスペンション調整の方法や効果について「フロントフォークのサスペンション調整の方法」の記事で詳しく解説しました。サスペンション調整の基礎を知りたい方は是非参考にしてみて下さい。
7.参考にした車両|SR400(3HTR, 2010年モデル)
メーカー:ヤマハ
車種:SR400
型式:3HTR
発売日:2009年12月21日
フロントフォークタイプ:正立、テレスコピック式
排気量:399cc
まとめ
バイクショップにお願いした時と、DIYでのフロントフォークのオーバーホールの費用の目安やは、それぞれ3.2万円~と5.6万円~となります。
工具一式を取り揃えることを考えると、バイクショップで行う方が、DIYよりも割安です。
DIYは、自分でメンテナンスやカスタムなどを行っている人であれば、サービスマニュアルと工具が揃っている分、消耗品のみの交換で済みます。
初心者でもサービスマニュアルを購入して、自分でできないか考えてみるのも良いでしょう。
参考)
SR400 サービスマニュアル(ヤマハ発動機、QQS-CLT-001-3HT)
SR400 パーツカタログ(ヤマハ発動機、1J3HT-0101J1)
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