バイクパーツのメッキ加工における下地研磨を自分でやるには?方法やコツを解説
バイクパーツをメッキ加工に送るのに、パーツを自分でみがけば、料金をおさえることができますよね。
でも、研磨のやり方について悩んでいませんか?
「どのサンドペーパーを使えば良いんだろう? 」
「方向とかあるのかな? 」
「プロはどの程度磨いているんだろう? 」
こんな感じのお悩みはありませんか?
この記事では、バイクパーツをメッキに出す前のDIYでの研磨のやり方について解説していきます。
この記事を読んでもらえると、メッキ前の研磨のやり方が分かり、メッキ加工全体の費用を抑えることに繋がるので、是非最後まで読んでください。
⚠︎注意!
本記事での方法は、当社がおすすめするメッキ前研磨の方法です。
メッキ加工業者によっては、別の方法をすすめていたり、DIYで研磨したパーツを受け付けていないこともあります。
研磨する前に、メッキ加工業者に研磨のやり方などを確認しておきましょう。
また、加工業者では、熟練の技術者がすみずみ丁寧に磨き上げています。
少しでもやり方や仕上がりに不安があったり、キレイな仕上がりを望んでいる場合は、迷わず研磨もおねがいしましょう。
もし、バイクパーツのメッキ加工業者をお探しでしたら、当社までお気軽にご相談ください。
下のボタンよりカンタンにお問合せできます。
目次
1.研磨の役割・必要性
まず初めに研磨の役割・必要性について解説していきたいと思います。
メッキにおける研磨の主な役割は、以下の2点です。
- 塗装やサビなどの異物の除去
- 加工後の外観を良くすること
メッキする表面にサビなどの異物が残ったままだと、メッキがうまくつかないメッキ不良を起こしてしまう可能性があります。
そして、メッキした後の見た目(ガイカン)は、下地の凹凸具合に左右されます。
下地のキンゾクを研磨で凸凹が少ない状態に仕上げておけば、メッキの仕上がりもキレイになってきます。
もし、仕上がりをキレイな外観にしたい場合は、キレイに磨きましょう。
当社では、研磨の必要性を感じて頂くために未研磨の状態のメッキサンプル品をご用意しています。
ご希望の場合は、こちらの公式オンラインショップよりお求め頂けます。
2.DIYで研磨しても良いバイクパーツとは?
バイクパーツのメッキ前の研磨はどんなパーツでも自分でしても良いのでしょうか?
実は、DIYで研磨しても良いパーツと、加工業者に任せた方が良いパーツがあります。
例えば、加工業者に研磨をおねがいしたいパーツは以下のようになります。
メッキ加工業者に研磨を依頼した方がよいパーツ
- インナーチューブ(フロントフォーク)
- オイルタンクなど
例えば、インナーチューブはフロントフォークを構成する一つのパーツです。
フォークオイルで満たされたアウターチューブの中を上下に動きます。
このフォークオイルを内側にとどめているのがオイルシールで、インナーチューブの外側と接しています。
そして、インナーチューブを削りすぎて規格よりも細くなると、オイルもれや不具合の可能性がでてきてしまいます。
したがって、インナーチューブは研磨を熟知した加工業者に依頼するのが良いでしょう。
→インナーチューブの再メッキに関して、「インナーチューブの再メッキとは?」や「インナーチューブの再メッキの料金と費用を抑えるコツ」を記事にしています。
良ければ読んでみて下さい。
オイルタンクも研磨で注意が必要なパーツの一つです。
なぜならば、オイルタンクはサビていることが多く、研磨でけずり過ぎてしまうと穴があいてしまう恐れがあるからです。
一方で、研磨を自分でしても問題ないパーツはどのようなものがあるのでしょうか。
DIYで研磨しても良いパーツ
- フロント・リアフェンダー
- サイドカバー
- ホイール
- アウターチューブなど
自分で研磨をしても問題ないパーツは、穴が空いたり下地の厚さが少し変化しても、バイクの走行に影響がないものです。
例えば、フロントフェンダーは、多少穴があいたり板厚が変わっても、泥よけとしての性能に影響はほとんどありません。
ですので、DIYで研磨しても問題はないでしょう。
事前の見積もりの問い合わせの時に、自分で研磨しても良いパーツかどうかも聞いてみましょう。
→研磨以外にも再メッキには注意が必要で、再メッキに向いていないバイクパーツがあります。
「バイクパーツの再メッキとは?」の記事で、再メッキに向いていないパーツや理由を紹介していますので、ご興味ありましたら、是非読んでみて下さい。
3.どれくらい磨くか
磨くといっても、どの程度まで磨けば良いかギモンに思われるかもしれません。
これはキョクタンな話で言うと、あなたが目指す外観まで磨きましょう。
といっても磨き精度を上げれば上げるほどコストが高くなってくるので、コストや作業時間を考慮してきめましょう。
当社では、サンドペーパー1000番で仕上げる方法をおすすめしています。
サンドペーパー1000番での仕上げは、当社が行うバフ研磨と同等の仕上がりになっています。
すなわち、当社で研磨したのと同等レベルの光沢があなたでも出せるようになります。
もし、それ以上の仕上がりを期待するようでしたら、2000番のサンドペーパーやコンパウンドを用いて磨いていきましょう。
4.メッキ前研磨・バフ掛けのコツ
研磨をする上でどのポイントを見ながら、磨き上げをしたら良いのでしょうか。
メッキする前までの仕上げは、以下のポイントに着目しましょう。
メッキ研磨でのポイント
- 塗装やメッキ、サビの除去
- 反射して、ツルツルした表面
- うねりのない表面
4-1.塗装やメッキ、サビの除去
まずは、塗装やメッキ、サビなどを完全に除去できているかがポイントになります。
上の方でも説明しましたが、塗装やサビなどキレイに下地の表面が露出していないとメッキ不良の原因になります。
ですので、メッキに出す前にサビや塗装など異物をしっかり取れているか確認しましょう。
「サビやメッキ、塗装がくぼんでる箇所に残ってしまう」
このようなギモンも出てくると思います。
この場合は、そのまま残しておくのも選択肢です。
と言うのも、残った塗装はそのまま残り、サビの箇所はメッキされるからです。
メッキを行う前に、サビを初め異物などを除去するプロセスがあり下地が露呈してきます。
そのため、サビがあってもその上にはメッキされてきます。
一方で、塗装が残っている箇所は、このプロセスでは取り除けないので、メッキはつきません。
ただ、目立たない場所で外観上問題ないので、残しておいても影響はほとんどないでしょう。
4-2.反射してツルツルした表面
メッキ前の研磨は、より大きい番手のサンドペーパーを使って、反射したりツルツルした表面になるまで磨きましょう。
「3.どれくらい磨くか」で説明したように、メッキでの研磨の影響はとても大きいです。
表面をできるだけ滑らかにするためにも、大きな番手のサンドペーパーを使って納得するまで磨きましょう。
4-3.うねりのない表面
うねりのない表面に仕上げるのも大事なポイントです。
うねりは、パーツの横から見ても分かるような緩やかな段差です。
例えば、このうねりは一方向のみしか磨かないと出てきたり、ゆびの力加減であらわれたりします。
下の画像は当社で施工したバイクパーツの画像ですが、うねりがあるのが分かると思います。
うねりは近づいて見ると良くわかるので、しっかりと解消しておくとキレイな仕上がりになってきます。
うねりを解消するためには、多方向から磨いたり、研磨ブロックやスポンジヤスリをうまく使うなどの工夫が必要です。
5.研磨・バフ掛けに必要なツール類
ここでは、研磨に必要なツールについて説明していきたいと思います。
用意するツール
手みがき(手バフ)
- サンドペーパー(#150、#320、#600、#1000)
- 研磨ブロックあるいはサンドペーパーホルダー
- スポンジヤスリ
バフ研磨
- サンダー(バフ機械)
- バフ用ウール/ナイロンディスクなど
- 研磨剤
共通のツール
- 塗装剥離剤
- サンドブラスト
- キレイな布
- 洗浄液(中性洗剤)
- 防錆オイル
サンダーなどの工具を使用せず、手で磨くときは、サンドペーパーを用意しましょう。
用意するサンドペーパーの番手は、#150、#320、#600、#1000がおすすめです。
これらの4つの番手を使って、塗装やサビの除去から、メッキ前の表面しあげまで行います。
もし、サンダーを使って研磨する場合は、ウールやナイロンディスクなどのバフを用意しましょう。
そして、研磨をする上で忘れてはいけないのが、キレイな布や防錆オイルや洗浄液です。
キレイな布と洗浄液
研磨をすると、研磨カスといわれるゴミが表面についてくることがあります。
これはメッキ不良の原因となります。
そのため、研磨をした後は、水や洗浄液でしっかりと研磨カスを洗いながし、水を拭き取りましょう。
防錆オイル
また、研磨であらわになる地金はサビやすいものです。
したがって、防錆オイルを準備して、サビ対策もしっかり行うことが必要です。
6.メッキ前の手バフ・研磨のやり方
HIMAARE BIKEがおすすめする研磨のやり方について、説明していきます。
上でも述べていますが、ポイントは下の3点です。
- 塗装やサビの除去
- 反射してツルツルした表面
- うねりのない表面
これを踏まえた上で、以下の手順にて研磨を行なっていきます。
研磨の手順
- 塗装やメッキ剥離での地金だし
- #600→#320で削れすぎないかの確認
- #150でサビ取り
- #320→#600でキズとうねり対策
- #1000での仕上げ
- 洗浄液で研磨カスの除去
- 防錆オイルでの地金の保護
つづきで、手順ごとにそれぞれのやり方やコツを詳しく説明していきます。
5-1.塗装やメッキ剥離での地金だし
最初に、塗装やメッキを剥離して地金を出します。
塗装やメッキが残っていると、メッキがうまくつきません。
そのため、塗装には剥離液(リムーバー)などを使用して、塗装を剥がしていきましょう。
塗装の剥離は、#150程度のサンドペーパーを使用してもできますが、剥離液に比べると地金へのダメージが強い傾向にあります。
また、メッキは硬いので、サンドペーパーではの剥離は大変です。
そのため、激しく削れるサンドブラストなどを利用すると良いでしょう。
5-2.#600→#320で削れすぎないかの確認
続いて、残ったサビやカスを除去していきます。
初めに#150のサンドペーパーを使用すると、ケズレ過ぎなどの想定外のことが起こってきてしまいます。
従って、目のより細かい#600→#300で削ってみて、削れ過ぎないか確認してみましょう。
5-3.#150サビ取り
#320まででパーツへの過度な研削がなければ、#150でサビや残りのカスを取り除いていきます。
パーツの形状に沿うように、サンドペーパーで異物を削っていきましょう。
もし、平面であれば硬めの研磨ブロックがあると、均一な力で面にそってこすれるので、用意しておくと良いでしょう。
柔らかい素材でできた研磨ブロックやスポンジヤスリは、曲面にそって研磨するのに向いています。
曲面があるパーツには、これらがおすすめです。
もし、クボミなどで取り除くのが大変な場合は、サンドペーパーを細くするなど工夫して、できるだけ除去しましょう。
5-4.#320→#600でキズとうねり対策
続いて#320を使用して研磨していきます。
ここでは、うねりのない仕上がりにするため、段差を落としていきます。
まずは、横方向に形状に沿って研磨ブロックを当てながら全体に研磨し、その後多方向から研磨していきます。
例えば、多方向からの研磨は、30度づつ角度を変えるなど、規則的に磨いていくと良いでしょう。
ここまでの研磨が終わったら、パーツを色々な角度から見て、サンドペーパーで削った以上の凹凸がないか確かめます。
もし、ここでもまだ凹凸がある箇所があれば、そこを重点的に研磨して、凹凸のない面にします。
続いて、#600に切り替えます。
#320と同じようにまずは一方向から全体に研磨をしてき、その後、研磨する角度を変えて再度研磨していきます。
研磨し終えたら、#320で削った傷跡がなくなっていることと、凸凹したうねりも解消されているか確認しましょう。
5-5.#1000での下地の仕上げ研磨
最後に#1000で仕上げていきます。
局所的に少しずつ研磨して、自分の求める表面になるまで磨いていきます。
この時も同じ方向だけでなく、他の方向からもみがきをかけていくと、仕上がりの筋が解消されていきます。
一箇所を磨き終えたら、全体を同じように磨いていき、仕上げていきましょう。
5-6.洗浄液で研磨カスの除去
#1000での仕上げが終わったら、研磨カスなどの異物を除去しましょう。
研磨カスなどの異物が残っているとメッキ不良を起こしてしまうので、しっかりと落とします。
ここでは洗浄液あるいは中性洗剤を使用し、柔らかいスポンジでパーツ全体を満遍なく洗いましょう。
5-7.防錆オイルでの地金の保護
研磨が終わったら防錆オイルを塗ります。
地金を露出するとすぐにサビてきてしまうので、素早く防錆オイルを塗っていきます。
全体に満遍なく防錆オイルを塗ってサビから守りましょう。
まとめ
この記事では、メッキ前の研磨のやり方について説明してきました。
メッキ前の研磨を自分でやることで、メッキ加工全体の費用を抑えることと、キレイな仕上がりが期待できます。
研磨を成功させるには、サビの除去と滑らかでうねりのない表面にすることです。
そのためにも適切な番手のサンドペーパーの使用や磨く方向を工夫しましょう。
研磨のやり方についてのイメージが持てたら、早速パーツのメッキ加工の見積もりをとってみましょう。
当社へのメッキ加工の見積もりのお問い合わせは、以下のボタンからカンタンにできます。
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